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外国にルーツがあり、日本語でのコミュニケーションに難しさを感じている子どもたちに、支え合える仲間をつくってほしいと、公益財団法人東京YMCAが年に1度のサマーキャンプを企画し、無料で招待している。
文部科学省の調査では、公立学校で日本語指導が必要な児童生徒数(外国籍・日本国籍の合計)は2023年に6万9123人で、12年から倍増している。
東京YMCAの担当者によると、外国にルーツのある子どもたちは、言語に不安を感じることがあるだけではなく、宗教や文化の違いによって、学校や地域でのイベントなどに参加できないことがあるという。ハラール食に対応していなかったり、集団での入浴に慣れていなかったりするためだ。
このため、国籍や文化、宗教にかかわらず誰もが参加できる場をつくろうと、23年から年1回、無料のサマーキャンプを始めた。ボール遊びやカヌー、火付け体験、キャンプファイア、湖畔の散歩、アクセサリーづくりなどをして過ごす。
子どもたちと同じように、母語ではない言語のなかで暮らした経験があったり、外国にルーツがあったりするボランティアが一緒に参加。説明には、やさしい日本語や絵などを使う。
ハラール食も食べられ、個別で入浴できるなど、宗教や文化の違いにも配慮する。
これまで、ウクライナから避難してきた子どもや、自分のルーツを知らず、キャンプをきっかけに知った子どもも参加した。「ハラールの関係もあって日本の食べものを食べることができていなかったけど今回のキャンプでいろんな物を食べることができました。イスラム教の人もうけ入れ、やさしくせっしてくれてありがとうございました」などと感想が寄せられている。
東京YMCAではサマーキャンプのほか、動物園などに日帰りで出かけるプログラムや学習支援なども行う。担当者は「活動を通して仲間を増やし、誰もが安心して生きることができる社会の実現をめざしたい」と話す。
サマーキャンプなどにかかる費用を募るため、クラウドファンディング(https://readyfor.jp/projects/sankaku2025)を行っている。